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2012/01/02(Mon)

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

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 フィジーから日本に帰国して早8か月が経過しました。帰国後すぐにブログを再開する予定でしたが、久しぶりの日本で何もかもが新鮮で、日々、気忙しく過ごしていました。フィジーでの3年間は、我が家に色々な教訓を残してくれました。日本の良いところ、悪いところも、以前より明確に感じるようになりました。


 ようやく日本版のオレスタを始めました。神戸を拠点にして、ルアーフィッシングはもとより、キャンプを中心としたアウトドア情報を発信していく予定です。また、神戸の地元情報、美味いもの情報も徐々に更新していきますのでお楽しみに。

オレノスタイル
http://orenostyle2011.blog.fc2.com/
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2011/03/21(Mon)

フィジーでスキューバ・ダイビング 〜フィジー最後の潜り〜


ボートから身を乗り出すと、透明度抜群の碧い海の中にゆらゆらとまるで生き物のように珊瑚が揺れている。海面の気まぐれな揺らぎが、海中の魚を大きくしたり、小さくしたり、歪めたり、黒い点にしたり、線にしたり、変幻自在に操っている。マスクを下げて、レギュレーターをくわえて、ベタ凪ぎの海面に足を踏み入れる。視界が水色に変わる。くっきりした輪郭の珊瑚が広がり、魚が魚の形をしている。耳抜きをして、前後左右に珊瑚を見ながら海底へ。

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 今日は、潜水部の皆でボートをチャーターして、コーラル・コースト沖のベンガ島とヤヌザ島付近を潜るのだ。ボートには、潜水部9名、インストラクターのアキラ氏、フィジー人2名の総勢12名。午前8時半頃にワーウィックを出発し、午前10時前にダイビングポイントに到着。ビチレブ島南部に位置するコーラル・コーストの海は、通常は東から吹く強烈な貿易風により、時に激しく荒れるのだが、12月〜3月頃までの夏の期間は、風向きが北からの風に変わるため、ビチレブ島が風を遮り見事なベタ凪ぎに変身する。大物を狙うルアー・フィッシングにおいては、このベタ凪ぎに難儀すること度々であったが、逆にスキューバ・ダイビングでは、非常に有り難い。

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 1本目は、ビチレブ島とヤヌザ島の間に浮かぶ小さな島“バードアイランド”の付近のキノコ雲のように立ち上るボミーの間を縫うように進む。水深はそれほど無い。満潮からの下げに入り、しかも大潮周りなので潮の流れが非常に強い。釣りの場合には、有り難い海況だが、ダイビング初心者の自分にとっては、この強い流れはちょっと怖い。事前にアキラ氏が海中に入り、潮の流れを確認してくれており、初心者ダイバーでも問題が無いポイントを選んでくれている。洞窟をくぐったり、強い海流に向かって泳いだり、魚を見上げたり、海流に身を委ねたり、海面へと浮かぶ泡の行方を追ってみたり。


 ボートの上で波に揺られながら昼食。何と女性陣のお手製おにぎりだ。昨夜、ホテルの部屋に炊飯器や食材などを全て持ちこんで仕込んでくれたと言う。まさかフィジーで、ボートの上で、ダイビングの合間に、本格的な日本のおにぎりを食べることが出来るとは。あまりの美味さに不覚にも写真を取ることを忘れてしまっていたので、残念ながら渾身のおにぎりの写真は無い。食後には、直径が100mあるかどうかの砂の島“バードアイランド”に上陸。その名のとおり、島には鳥が群れている。束の間の休憩の後にボートで移動。

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 2本目は、ベンガ島の北側の沈潜を目指す。25年ほど前に沈められた台湾の漁船とのこと。今はすっかり海の生き物たちの住処になっているようだ。潮の流れがあるために、一定の場所に留まっているのが意外に難しい。船と戯れつつ、写真を撮影。

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 ナマズさんとM子ちゃん。ナマズさんは、海中にも活動域を拡大。

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 インストラクターのアキラ氏と手を引かれるH多さん。

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 魚達。

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 別行動をしていた息子とインストラクターに遭遇。

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 (手前から)船酔いのため気分最悪で弱り中のH多さん、どこでも瞬時に睡眠体制に入ることが出来るM子ちゃん、そして海のエキスパートI谷さん。

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 右奥にK島ご夫妻。お二方ともダイビング経験が豊富。旦那さんの持っておられた水中撮影用のカメラのセットが非常に気になり、あれこれと教えてもらう。

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 アドバンスのライセンスを取得して以来、久々に潜った自称引きこもりH野ちゃんと、一瞬だけ息を吹き返した船酔い中のH多さん。

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 右からナマズさん、ワタクシと息子。

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 瞬時にスリープモードに入るM子ちゃん。大人の中では最年少だから、色々と気を使って疲れちゃうよね。


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 このダイビングの前の晩は、ワーウィックの敷地内の突堤にあるシーフード・レストランで夕食。

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 フィジー最後の記念すべき旅行となった今回。今回の潜水部のチャーター潜りを企画して下さり、更に美味しいおにぎりを沢山作って下さったI谷さん、H多さん、M子ちゃんに感謝。私のあれこれ我儘な誘いにいつも付き合って下さったナマズさん、さらに私の強引で急な誘いにも笑顔で応じてくれたH野さんに感謝。家内ともども色々な場面でお世話になったK島さんご夫妻に感謝。最後に海の素晴らしさを教えてくれたアキラさんに感謝!何処かの地で皆さんにお会い出来ることを願っています。

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 夜のワーウィック。


【潜りのデータ】
(1本目)
 年月日:2011年3月21日(月)
 場所:ヤヌザ島付近のバードアイランド
 水温:29−30℃
 潜水時間:44分(午前9時55分〜10時39分)
 最大潜水深度:21.8m

(2本目)
 年月日:2011年3月21日(月)
 場所:ベンガ島付近の沈潜
 水温:29℃
 潜水時間:50分(午後12時36分〜1時26分)
 最大潜水深度:19.5m

【費用】
 ・ボートチャーター費用:2000Fドル(約10万円、軽食、飲み物、タンク含む)
 ・機材レンタル費用:35Fドル/人(約1750円)


Warwick Fiji Resort & Spa
 Coral Cost, Fiji Islands, P.O.Box 100, Korolevu
 http://www.warwickfijihotel.com
 http://www.warwickhotels.com
 Tel: +679-653-0555
 Fax: +679-653-0010

SPAD (South Pacific Adventure Divers)
 Fiji Office, P.O.Box 63, Korolevu
 Phone: +679-653-0055
 Mobile: +679-999-8384
 E-mail: info@spadfiji.com

PADI Japan
 http://www.padi.co.jp/
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2011/03/20(Sun)

フィジーにも伝統的な木製品があるのだ。

 何処の国や地域にも、その土地の伝統的な工芸品などが存在する。フィジーにおいては、ベシと言う堅い木で作られた木製品がその代表であろう。フィジーでは、ほんの百数十年前までは、部族間または村単位で領土を巡る戦闘が繰り広げられていた。日本の戦国時代のような金属製の武器や火薬類は存在せず、およそ縄文時代に匹敵するような木製の武器が主流であったようだ。フィジーでは、周辺の離島を含めて、つい最近まで、戦闘で殺した敵を食べていたと言う。ラウ諸島出身のフィジー人の知人によると、彼らの曾祖父の時代には、戦闘で殺した人の肉を食べていたとのことで、現在も島には、その名残なのであろう人骨が転がっていると言う。そのせいもあり、フィジーで作られている木製品の多くは、往時を思わせる武器が主になっている。

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 スバの街中から海岸方面に出ると、ハンディクラフトを販売している店が軒を連ねている場所がある。店の数は、30ほどあるだろうか。

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 今までに、何度も色々な店に足を運んで、販売されている木製の工芸品の品質や値段、そして店員の話を聞きつつ、最終的に自分のお気に入りになったのが、このお店。店内の製品の殆どは、ラウ諸島で生産されていて、素材はベシを使用している。他の店では、見掛け重視のものもあり、ベシを用いずに、安価な他の木材を使用している場合もある。フィジーの伝統的な工芸品を購入すると言うのが目的であれば、素材は重要なので注意が必要だ。ベシは非常に堅く、重く、キメが細かく、また木目が非常に綺麗なのが特徴だ。木目を隠すような黒い塗装がなされているものは、木目が綺麗に出ていないものか、もしくはベシでは無い可能性が高い。

 彼の名は、「ミサキ」と言う。彼は、ビチレブ島に住むフィジー人とは異なる顔立ちをしている。ビチレブ島の南東のラウ諸島出身だ。フィジー人には、珍しく、非常に商売熱心だ。商品に張り付けられている価格は、海外からの観光客用の価格になっているらしく、地元人であることを告げると半額程度に値引きをしてくれる。念のため、同等の商品がジャックス(Jacks)でいくらで販売されているかを確認したところ、何とこの店の定価より高いのであった。


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 壁にはベシで出来た木製の武器がずらりと並んでいる。いずれも武器として使用されていたものと同じ大きさだ。持ち運びし易いように、小型のものも販売されている。どれも非常に重量感がある。これらの中には、武器では無く、酋長がその地位を示すために持つものもある。平べったいカヌーで使用する櫂のような形状をしているものがそれだ。ラウ諸島の工芸品は、いずれも彫刻が細かく綺麗なのが特徴だ。色々な店で木工品を見るたびに、フィジーのどの地域で製作されたものかを店員に聞いたのだが、出来が良い物は、圧倒的にラウ諸島産が多い。

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 店内には、武器以外にも、カバを飲むときに使用するタノアや太鼓のような役割のあるラリなども並んでいる。このお店の工芸品は、フィジー国内では有名な土産物店であるジャックス(Jacks)にも卸しているので、それなりに品質が良いのであろう。

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 巨大なタノア。彫刻が細かい。


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 2本の武器を購入した際にサービスしてくれたもの(通常の販売価格は、80Fドル)。これは、カンニバル・フォークと言うもので、戦闘で殺した敵の肉を食べるためのフォークであるらしく、特に脳味噌を食べる時に使うのだと説明を受けた。

今回、これら以外にも、タノアを2個購入した。


Name Card Handicraft

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2011/03/19(Sat)

常夏のフィジーで工場直販「UGG」を買う

 日本を離れて3年も経過すると、すっかり日本の流行に疎くなってしまうのは止む無きことであるが、巷の噂によると数年前から、羊の皮で製作された豪州製のブーツが大変人気であるとのこと。フィジーの玄関口であるナンディ国際空港に到着すると「UGG」の大きな広告が張り付けてあり、これによるとフィジーでも本場オーストラリアの「UGG」と同じ製法でブーツを生産していて、購入することは勿論のこと、工場見学も出来ると言う。以前から気にはなっていたが、常夏のフィジーでは、羊の皮で出来たブーツは、見ているだけでも暑苦しいし、必要が全く無いので眼中に無かったのだが、帰国が近づくにつれて、何らかのフィジーの記念の品が必要だなと思うようになった。このブーツも歴とした「Made in Fiji」なのだ。

 家内がどうしてもこのブーツを購入したいと言うので、泊りがけでナンディを目指すことになった。スバを経ち、車でひた走ること3時間でようやくナンディに到着。ナンディの街中を抜けて、日本食レストラン「大黒」を右手に見て、更にQueens Roadを進むとMasilivate Roadと交わるので、ここをナンディ空港の滑走路側に左折し、突き当りを右に折れると工場がある。


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 パンフレット

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 「UGG」の文字があるのだが、建物1階部分の店舗が完全にもぬけの殻になっている。倒産したのか?わざわざ200kmも走りここまで来たのに。念のため、近所の人達に尋ねてみると、工場は2階にあると教えてくれた。


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 以前に空港で入手したパンフレットによると、土曜日も午後3時まで営業しているとのことだったが工場に人の気配がない。しばらくして、店長らしき人が現れ、“今日は休みなんだけど”と嫌な顔をされたが、「UGG」のブーツを購入するためにわざわざスバから泊りがけで来たのだと説明すると、遠慮なく工場内、店内を見ても良いと言ってくれた。更に購入することも可能だし、好きな色でブーツを作ることも可能だと教えてくれた。


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 平日で有れば、午前9時から午後5時までは、説明付きで工場見学が出来るのだと言う。

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 こちらは、この工場で製造されている「UGG」のブーツがずらりと並ぶ一室。この中から購入することも出来るし、工場が稼働していれば、数時間待てばブーツを作ってもらうことも可能だとのこと。工場には、色々なカラーの毛皮があり、また靴底も数種類あるので、これらを自由に組み合わせて、オリジナルカラーのブーツを作ってもらうことが可能だ。ただし、ブーツの形状は、数種類の既製品から選ぶことになる。何とオリジナルカラーの場合も、お値段は既製品と同じと言うのが嬉しい。

 今回は、工場が休みなので、ブーツの「形状」「サイズ」「色」を伝え、後日、完成品をスバまで配送してもらうことにした。送料が必要なのかと思いきや、何と無料。


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 こちらは、デナラウポートにある「UGG」の店舗。工場で製造されたブーツがここに並ぶ。お値段は、工場で購入しても、こちらの店舗で購入しても同じ。

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 2日後、スバにブーツが届いた。既製品とは色遣いが異なっていて、ブーツ上端の縁取り、ブーツの底と縁取り、かかと部分の色を標準色の灰色から黒に変更している。お値段は165Fドル(約8200円)。現金で支払うと、定価の5%引きになる。


UGG Store
Address: Port Denarau
営業時間:無休(時間不明)

UGG Factory
Address: Lot30, Waqavuka Street, Namaka Industrial Area, Nadi, Fiji Islands
Tel: +679-672-0110
Fax: +679-672-7008
Mobile: +679-747-0744
営業時間:月曜日〜金曜日、午前9時〜午後5時
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2011/03/08(Tue)

バヌアツ 豚の牙“タスカー”

 エファテ島にある首都ポートビラ市やサント島のルーガンビル市などにおいては、道路、水道、電気などの社会基礎インフラの整備が進み、また海外からの食料品や生活用品が大量に輸入されており、一瞬、先進国に近い近代的な生活環境が整っているようにも見受けられるのだが、バヌアツの人口約20万人のうち、このような市街地に居住しているのは、バヌアツ全人口の僅か25%に相当する約5万人に過ぎず、残りの約15万人は、依然として国内に点在する約80の島々で自給自足に近い伝統的な生活を営んでいる。


 政治もしくは経済の世界でも、未だにバヌアツの伝統的な酋長制度の影響を垣間見ることが出来るのだが、離島部の村落においては、特にその伝統的な習慣が色濃く残っている。大洋州の多くの国々がそうであるように、バヌアツにおいても豚は富の象徴とされている。冠婚葬祭やその他の式典でも、豚は無くてならない存在であり、豚を何頭所有しているかということは、つまり富を判断する際の重要な判断基準となる。バヌアツでは、豚の牙のことをタスカーと呼ぶ。綺麗な円弧を描く牙は特に珍重されており、首からぶら下げたり、ブレスレットとして使用されている。もちろんこれらも富の象徴、酋長の証でもあるのだが、なぜ故に豚の牙ごときに価値があり珍重されるかと言うと、その過程にあると言える。


 豚の牙が綺麗な円弧を描くためには、相当な時間を要すると言うことは想像に易いのだが、聞くところによれば、バヌアツにおいては、豚を早く大きく育てるために雄豚を去勢するのだそうだ。去勢された雄豚の成長は、通常の雄豚より早いらしく、また長寿であると言う。雄豚の牙がぐるりと綺麗な円弧を描くのに、一体、どれぐらいの歳月を要するのか知らないが、牙が成長し、円弧を描く頃になると、豚は自ら餌を捕食することが困難となる。ならばどうするのかと言うと、人間がスプーンで豚の口に餌を運んでやらなければならない。豚(の牙)を大きく育てるには、餌代もさることながら、たいそうな人手も要すると言うことになる。つまりは、生活に余裕が無ければこのようなことは出来ないわけだ。豚の身体が大きいことも重要であるが、生き物なので、当然ながら寿命が有り、いつかは寿命が尽きてしまうのだが、その瞬間に富の象徴を失ってしまうのが通常であるが、手塩にかけて育てた証が、タスカーとして凛として存在するのである。


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 この白人の女性は、複数の村の酋長だそうだ。両手首に数個のタスカーがあり、さらに首からもタスカーが。相当な権力を持っているのだろうな。


 どのようなタスカーに価値があるのか、バヌアツ人に色々な場面で尋ねてみると、以下の条件を満たせば満たすほど、その価値が高くなるようだ。

(1)円弧が真円を描いている。
(2)牙の根元と先の重なりが大きい。
(3)重なっている部分の隙間が少ない。


 価格の相場としては、円弧を描いているか否かが価格に大きく影響し、目の検査の時に使用するアルファベットの「C」のように隙間が空いているものと、「O」のように隙間が空いていないものでは、価格に倍以上の差が出る。ポートビラ市内の色々なお店で価格を確かめていたところ、円弧が4分1程度(片仮名の「ノ」のような形状)であれば数百×〜1000バツ程度、円弧が2分の1程度で有れば、1000〜2000バツ程度、4分の3程度あれば、4000バツ程度、「O」に限りなく近いが微妙に隙間がある「C」の形状であれば、6000バツ程度以内であるのだが、「O」の形状に達すると、たちまち15000バツ〜20000バツに値段が跳ね上がるのだ。円弧の重なり具合や形状により、値段は数千バツ単位で上下するのだが、円弧が1周半ほどあり(つまりは重なっている部分が円弧の2分の1)、しかも隙間が少なく、尚且つ綺麗な真円を描いたものであれば、6万バツ〜10万バツに一気に価格が高騰するのだ。時間をかけて人手をかければ、ぐるりと一周巻いたタスカーを持った豚を育てることは可能であろうが、理想通りのタスカーを作るには、技術力というよりかは、豚の遺伝子に頼った偶然の産物であるはずなので、余計にその希少性が評価されるのであろう。

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 サント島のサント・ホテルで売っていたタスカー。お値段は確か6万バツぐらいだっただろうか。見事な巻きっぷり。非常に欲しかったが、全く手が出ず。



 今回が最後のバヌアツ出張となるので、記念にタスカーを購入することにした。以前からバヌアツに来た際には、時間を見つけては、良いタスカーを売っている店が無いか確認をしていたのだが、自分の懐具合に見合った良いタスカーに巡り合うことがなかなか出来ない。売っている方も、少なくとも自分よりかは、タスカーの価値が分かるので、結果的に値段相応と言うことになる。あれこれ考えた結果、これを購入した。


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 お値段、2万バツのタスカー。高級なタスカーには、さすがに見劣りしてしまうが、自分にはこれぐらいがお似合いだろう。最近は、徐々にタスカーのために豚を育てる人が少なくなったらしいので、貴金属のように財テクのひとつとして、タスカーが脚光を浴びる日が来るかも知れない。たぶん来ないと思うけど。


 バヌアツの国旗にもタスカーが描かれているし、タスカーと言う銘柄のビールもある。バヌアツを訪問される際には、是非、本物のタスカーもさることながら、タスカーに由来するものを探すのも面白いのではないだろうか。

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